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新規作成:2009-11-17
6 ファインダーとモニター
デジカメの主流は液晶モニター
デジカメ実験室

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レンジファインダー
 カメラで撮影するときには,少なくともカメラを撮影対象に向けることと,どれだけの範囲が写るかを確認する必要がある。そのため,カメラにはファインダーが備えられるようになった。
 古い時代の多くのカメラはレンジファインダーを採用していた *1 。レンジは範囲という意味で,ファインダーをのぞくと撮影される範囲だけが見えるようになっている。図6-1はレンジファインダーを備えているカメラの概略図で,レンズや感光体などで構成される光学系とは別に,カメラ前面には四辺形のガラス窓,背面には小さなのぞき窓がある。写真(図6-2)は私が1960年前後に使っていたコニレットというカメラの背面で,丸いのぞき窓があるのがわかる。
レンジファインダーを備えているデジカメも少数ではあるが存在する。
レンジファインダーの概略図   コニレットの背面
6-1 レンジファインダーの概略図   6-2 コニレットの背面


二眼レフ
 撮影範囲を定めるだけでなく,ピント合わせもおこなうことができるように,20世紀前半に二眼レフが登場した。図6-3に示すように撮影用のレンズとは別にファインダー用のレンズが備えられていて,ファインダー用のレンズから入って来た光は斜め45度に置かれた鏡で反射して上部のフォーカシングスクリーン(焦点板)の上に像を結ぶようにしてある。撮影用レンズとファインダー用レンズは歯車でかみ合っているので,フォーカシングスクリーン上の像を見ながらレンズを回転させてピントを合わせることができる。スクリーン上の像を詳しく見るために,ルーペ(虫めがね)が備えられていた。
 わざわざ鏡を使用して上から見るようにしたのは,当時のカメラが大きくて重かったため,片手でカメラを目の位置まで持ち上げながら,もう一方の手でピント合わせをおこなったりすると,カメラを安定に構えることがむずかしかったからだと思われる。私が子供のころ叔父が二眼レフを持っていたが,片手で下から支えるように持ったカメラを腹部に当てるようにして構えていたのを見たことがある。
 この形式のカメラは,2つのレンズ(二眼)を持っていることと,光を反射させること(レフレックス)ことから,[二眼レフ]とよばれるようになった。
二眼レフの概略図
6-3 二眼レフの概略図


一眼レフ
 レンジファインダーや二眼レフには,撮影用レンズに入って来る光とファインダーに入って来る光が数cmから10cmほど離れているため,特に近くの物を写したときに,ファインダーで見た像と撮影された像が一致しないとういう問題がある。この問題は視差(パララックス)とよばれている。さらに二眼レフの場合は,視差の問題以外に,ほぼ同じレンズが2つも必要だという問題もある。そこで撮影用のレンズをファインダー用としても使う方式が開発された。可動式の鏡を用いることにより,ファインダー用として使うときには図6-4の左図のように鏡で反射させ,撮影時には右図のように鏡を上部に収納するというものである。この形式のカメラは,先輩の[二眼レフ]に対して,[一眼レフ]とよばれるようになった。
初期の一眼レフの概略図
6-4 初期の一眼レフの概略図

 初期の一眼レフは手動で鏡を出したり収納したりしていたが,普段はファインダー用に鏡を出しておき,シャッターボタンを押したときに自動的に収納され,撮影が終わると元に戻るように改良された。シャッターボタンを押してから鏡が収納されるまでの時間はできるだけ短い方がよいので,高速で動くことができるように軽い鏡が作られた。すばやく動いて元に戻る鏡というこから,[クイックリターンミラー]とよばれている。
 もうひとつの大きな改良点は,上から見るファインダーではなく,図6-5に示したように撮影対象の方向を見るファインダーとしたことである *2 。特に望遠レンズを使用するときや高速で動いている物を撮影する場合,目が見ている方向と撮影対象の方向が異なると,なかなかうまくカメラを向けることができない。
 図6-5ではフォーカシングスクリーン上の像を一枚の鏡で反射させているが,このままでは倒立像(上下が逆さの像)になってしまうので,正立正像(上下左右が正しい像)にするために,ペンタプリズムなどを使用したやや複雑な光学系が必要になる。
改良された一眼レフの概略図
6-5 改良された一眼レフの概略図

 この方式の一眼レフは1960年ごろには完成の域に達し,デジタル一眼レフにも引き継がれている。


液晶モニター
 デジタルカメラの登場とともに普及したファインダー方式に,[液晶モニター]がある。デジタルカメラが従来のカメラよりも優れている点のひとつが,撮影した画像をその場で見ることができるということであるが,そのためにも必要だったのが液晶モニターである。液晶モニターは,撮影時にはファインダーとして使用でき,ズームレンズを搭載しているデジカメでは,ズームレンズを操作することによって得られる画像を確認することができるという点で,レンジファインダーに勝っている。
 図6-6は,1997年に購入したSONYMVC-FD7という比較的初期のデジカメで,10倍のズームレンズを備えていて,撮影した画像はフロッピーディスクに記録される。図6-7は,撮影したぬいぐるみとデジカメFD-7の背面で,撮影した写真が液晶モニターに映っている。このデジカメにはファインダーがないので,モニターを見ながら撮影する。
デジカメFD-7   ぬいぐるみとFD-7の背面
6-6 デジカメFD-7  6-7 ぬいぐるみとデジカメFD-7の背面

 FD-7の液晶モニターは,サイズこそ2.5インチと当時としては大き目であるが,画素数が約2万(160×120画素程度)しかないため,画像は不鮮明で液晶のドットが目立ち,ピントが合っているかどうかなどの確認をするには解像度が低すぎる。図6-8は,モニターの画像(実際の大きさは幅が50mm)で,図6-9はその一部分を拡大したものである。
 図6-10FD-7で実際に撮影した写真(オリジナルは640×480画素)で,解像度は低いものの,発色はけっこう良い。
FD-7のモニター画像
6-8 モニターの画像
モニター画像の一部を拡大
6-9 拡大したモニターの画像
FD-7で撮影した写真
6-10 FD-7で撮影した写真
 モニターは大きいほど見やすいが,デジカメに収めるためには限度がある。それでも初期のデジカメに比べて,最近のデジカメのモニターは大きくなってきた。図6-11は上が2003年の夏に発売されたMINOLTADiMAG EX20で,モニターは1.6インチの8.5万画素,下は2007年の秋に発売されたCanonIXY D910ISで,モニターは3.0インチの23万画素となっている。デジカメの大きさはほとんど同じぐらいであるのに対して,モニターの大きさはずいぶん違う。
 図6-122009年に発売されたPanasonicDMC-GH1の背面で,モニターは角度を変えることができる[フリーアングル式]となっていて,画素数は46万画素と多い。フリーアングル式はビデオカメラには以前から用いられてきたが,最近は動画が撮影できる一眼デジカメなどにも搭載されるようになった。
新旧デジカメのモニター
6-11 新旧デジカメのモニター
フリーアングル式モニター
6-12 フリーアングル式モニター

*1  レンジファインダーを備えているデジカメも少数ではあるが存在する。
*2  図6-5ではフォーカシングスクリーン上の像を一枚の鏡で反射させているが,このままでは倒立像(上下が逆さの像)になってしまうので,正立正像(上下左右が正しい像)にするために,ペンタプリズムなどを使用したやや複雑な光学系が必要になる。

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