「考えてみよう その 2」のヒント

アルミ板の影響についてのヒントと実験例
 私たちの感覚からするとアルミ板に穴はあいてないし,空気や水や光も通過できないが,β線から見たアルミ板はかなりスカスカなのだ。アルミ板を数億倍に拡大して見ることができたとすると,アルミニウム原子が 10-10 m ほどの間隔で規則正しく配列しているだろう。そして 1 つの原子に注目すると,中心に 10-14 m ほどの大きさの原子核があって,隣の原子との間には電子が希薄な雲のように存在している。原子と原子核の大きさの比は太陽系と太陽の大きさの比と同じくらいだから,いかに空間だらけかということが想像できよう。
 アルミ板の中に高速で突入してきたβ線(電子)は大きなエネルギーを持っているために,雲のように存在する電子を蹴飛ばしながら突き進んで行く(このとき少しずつエネルギーを失うために,ある厚さ以上を透過することができない)。ところが運悪く原子核に近づきすぎるとβ線は進路を大きく曲げられ,中には反射するようにバックしてしまうこともある。アルミニウムの原子核はβ線(電子)の5万倍も重いためである。
 次に示すのは私が実験したときのデータである。
距離 L[cm]  計数率[cpm]
   ∞          460
   18          481
   10          676
    5         1711
    3         3465

記:2004-10-31

戻る