注意 望遠鏡の接眼部を軽く左右に動かしてみて,ガタがないことを確認する。もしガタがある場合は申し出る。ガタがあるときは,望遠鏡を固定しているネジ S5 がゆるんでいる可能性がある。コリメータについても同様の確認をする。 注意 回折角の測定を始める前にクランプネジ K1 をゆるめ,望遠鏡を左右に 30°ほど回転させてみる。このとき回折格子や目盛盤が全く回転しないことを確認する。もし回折格子が回転するときはネジ K2 を,目盛盤が回転するときはネジ K3 をしっかりと締めること。 ヒント-1 測定は 2 つの副尺 V1 と V2 を用いて行うが,2 つの副尺は望遠鏡の回転軸に対して対称の位置に設けてあるので,それぞれの測定値の差は 180 °となるはずである。V1 と V2 は異なった人が目盛を読み取って記録し,その差が 180゜になっていることを確認すれば,目盛の読みまちがいを防止できる。ただし分光器の構造上の精度限界によって,両者の差は 180゜から数分程度ずれている可能性はある。 ヒント-2 微動ネジ Q を用いて回折像と X 字線の交点を一致させるとき,常に望遠鏡を一方向に動かすように操作すると良い。もし望遠鏡を右から左に動かすように操作していて目標の回折像が X 字線を通り過ぎてしまったら,望遠鏡を右に戻してからもう一度左に動かすようにして一致させる。 どんなに精密に作られた回転軸にも必ずある程度のガタがある(完全にガタを取り除こうとすると,摩擦が大きくなって回転できなくなる)ので,分光計の場合には望遠鏡の光軸と目盛盤の目盛との間に遊び(バックラッシュ=backlash)が生じる。しかし望遠鏡を一方向に動かすようにして測定することによって,遊びの影響を小さくすることができる。 考えてみよう その 1 角度の計算は 度分秒( °′″)ではなく,度(°)に変換してからおこなった方が楽だ。ただし桁不足にならないように注意する必要がある。 どれでは何度の位まで用いて計算する必要があるだろうか。 ⇒ヒント 考えてみよう その 2 ていねいに測定を行い,正しくデータ処理を行えば,測定値±誤差 とナトリウム D 線の波長(D1 と D2 の平均値)589.3 nm が一致するはずだ。もし一致しなかった場合は,その理由を考えてみよう。 ⇒ヒント 考えてみよう その 3 1 次の回折像は非常に明るいので,0 次の回折像とまちがえてしまうことがありえるが,その場合は回折角の測定結果にある特徴が現れるので,まちがいを見つけることと,データを補正することができる。その場合に現れる特徴と,補正の方法を考えてみよう。 ⇒ヒント 考えてみよう その 4 テキストでは,回折角 φm の誤差 Δφm は次数によらずに 1 分であるとして波長の誤差 Δλ を見積もった。しかしこの実験では回折角の 2 倍を測定して 2 で割っていることと, 2 つの副尺 V1 と V2 を用いて測定して平均しているので,ていねいに測定し,正しくデータ処理をしたときの回折角の誤差は,1 分よりも小さいと思われる。それでは誤差 Δφm はどれくらいにするのが適当だろうか。考えてみよう。ただし分光計の機器誤差は十分に小さいとして無視しよう。 参考 ここで行われている物理学実験の中では,実験 3「重力加速度」とともに,最も精度の高い測定結果が得られる。 記:2005-04-20 |