補足 使用しているデジタル抵抗計3540の機器誤差は,0.1% rdg ± 4 dgtである.rdg(reading)は表示値,dgt(digit)は最小位の数字を表すので,たとえば表示値26.83Ωにおける機器誤差は±(26.83×0.001+0.04) = ±0.04Ω となる. |
ヒント-1 直線の傾きは,直線上にとった 2 点から求めるが,その 2 点はできるだけ離れたところにとる。 ヒント-2 最小二乗法によって求めた結果は,x と y の関係式ではなく,T と R の関係式で表すこと。 ヒント-3 サーミスターの抵抗と温度との関係は,反比例や二次関数の類ではない。一般的にグラフを見ただけでは一次関数以外の関数の種類を決めることはできない。この実験ではテキストの式(6)を参考にするとよい。 ヒント-4 氷点における電気抵抗について,計算で求めた値と直接に測定した値を比較する場合は,誤差か少なくとも有効数字を考慮すること。 ヒント-5 検討(5)と(6)について(△:長所,▽:短所) ▼温度センサとしての利用したとき ・銅線: △温度と抵抗の関係がほぼ直線なので,抵抗から温度を求めるときの換算が楽。 ▽サーミスタに比べて感度が低い。 ▽電気抵抗を大きくしないと実用的な感度が得られないので,非常に細くて長い線材が必要になり,センサのサイズを小さくすることが困難。 ▽経年変化が大きい。すなわち銅の酸化等によって,時間が経つにしたがって電気抵抗が変わってしまう。 銅線を温度センサとして用いることはまずない。しかし化学的に安定な白金線は高精度な温度センサとして用いられている。 ・サーミスタ: △銅線に比べて温度係数が桁ちがいに大きく感度が高い。 △電気抵抗が適度に大きく,センサのサイズを小さくできる。 ▽抵抗から温度を求めるときの換算がややめんどう(マイクロコンピュータ等を用いれば問題ない)。 サーミスタは名前が示す通り,温度センサとして作られた半導体である。電子式体温計をはじめ多くの電子機器に用いられている。 ▼グラフからの解析と最小二乗法 ・グラフ: △目で確認できるので,測定ミスなどを発見しやすい。 ▽グラフの描き方などによる個人誤差が入りやすい. ▽グラフ作成に手間がかかる。 ・最小二乗法: △客観的な解析ができる。 △標準偏差(誤差)が求められる。 △データ処理が簡単にできる(本実験で行ったような計算方法を用いると手間がかかるが,コンピュータや電卓の最小二乗法解析ソフトを使えば,測定データを入力するだけで結果が求められる)。 ▽異常データも使用してしまう危険性がある。 ▽データの入力をまちがえると,とんでもない結果になってしまうことがある。 考えてみよう 白熱電灯のフィラメントは,エジソンの時代は炭素であったが,現在ではタングステンが使用されている。炭素フィラメントの電灯を,たとえば定電圧 100 V で点灯した場合,タングステンフィラメントの電球が瞬時に明るくなるのとは対照的に,ふわっーと明るくなる。その理由を考えてみよう。なお炭素の電気抵抗は,半導体と同じように,温度を上げると指数関数的に減少する。 ⇒ヒント 参考 2004年度までは電気抵抗の測定にホイートストン・ブリッジを用いていた。ホイートストン・ブリッジは高精度で電気抵抗の測定ができるが,操作にかなり手間がかかることから,この実験のように刻々と変化する電気抵抗を測定するには不向きであった。さらにホイートストンブリッジを使用すると試料の銅線やサーミスタにかなりの電流が流れるため,試料が発熱してしまうために正しい測定ができないという問題もあった。 記:2005-11-29 |