最終更新:2011-06-27
新規作成:2011-06-26
飛び出すスチールボール
磁石あそび 3
トップページ >
磁石あそび >
飛び出すスチールボール
机上に置いたフェライト円板磁石に
2
つのスチールボールを,図
1
のように一直線状に並べてくっつけておき,磁石の反対側から別のボールをゆっくりと磁石に近づけていく.
図
1 スチールボールをゆっくりと近づける
やがてボールは磁石に引っ張られて動きだし,磁石に吸い付けられる.その瞬間,図
2
のように,磁石から遠い位置にいたボールが勢いよく飛び出していく.
図
2 スチールボールが飛び出した
動画 (新しいタブまたはウィンドウが開きます)
解説
ここで起こった現象を順を追って簡単にとりあげていくと,
(1) |
ボールAが磁石から離れていたとき,ボールは磁石に対する位置エネルギー(ポテンシャル)をもっていた(エネルギーを与えたのは人力).
|
(2) |
ボールが磁石に近づくにつれて位置エネルギーは運動エネルギーに変わり,ぶつかった瞬間には,かなりなスピードを得ていた.
|
(3) |
ボールにぶつけられた磁石は弾性変形をし,その変形は磁石内を衝撃波(物質内を伝わる音波)となって反対側に伝わり,ボールBを弾き飛ばそうとする.
|
(4) |
ボールBは磁石に強く吸着されているので離れることはなく,衝撃波がボールBの内部を伝わってボールCと接する面に達する.
|
(5) |
衝撃波を受けたボールCは,磁石から遠い位置にあるために磁石による吸着力が比較的弱く,飛び出してしまう.
このとき[ボールB/磁石/ボールA]は,飛び出したボールCの反跳力を受けるので,ひとかたまりになって右方に動く.
|
というようになろう.
机上との摩擦があるのではっきりしないが,実際にはボール
Aが磁石によって引き付けられて加速していくとき,[ボール
C/ボール
B/磁石]のかたまりも,ボール
Aに引き付けられて,右方に動くはずだ.
このような原理でスチールボールを勢いよく飛ばす装置?は,
ガウス加速器(
Gauss accelerator)
とよばれている.
ネオジム磁石を用い,飛び出したボールを次の装置にぶつけるということを何段か重ねると,かなりの高速を得ることができる.ただしネオジム磁石は脆い
(もろい)
ので,鋼鉄製のヨークを付けるなど,工夫が必要になると思われる.
材料
鏡面フェライト磁石:直径
15
mm,厚さ
4
mm
(8枚入
210
円/東急ハンズ)
スチールボール:直径
8
mm
(15
個入
305
円/東急ハンズ)
最初に遊んだ日:2011年6月2日