新規作成:2009-11-17
8 電子式ファインダー(EVF)
ビデオカメラでは歴史が古い
デジカメ実験室
トップページ >
科学と技術の部屋 >
デジカメ実験室 >
電子式ファインダー
(
EVF)
高倍率ズームレンズの使用があたりまえになっているビデオカメラは,かなり以前から電子式ファインダー(EVF=Electric View Finder)を使用していた。EVFは,撮影素子から常時出力されている映像信号を,カメラに搭載した小形ディスプレイに表示させ,表示された映像をアイピースで拡大して見るという装置である。
初期のビデオカメラは撮影素子としてビジコン(vidicon)などの撮像管が,EVFにはブラウン管(CRT=Cathode Ray Tube)というように,どちらにも真空管が使用されていた。私が最初に使用したビデオカメラは1980年に購入したVICTORのGX-V8で,やはり撮影素子はビジコン,EVFはモノクロのCRTだった。やがて撮像管はCCDなどの半導体素子に代わったが,当時の液晶ディスプレイは表示速度が遅く,動画の表示には不向きだったため,EVFは引き続いてCRT式だった。
図8-1は1987年に購入したSONYの8mmビデオカメラCCD-V90で,EVFの部分を起こして,上からのぞきこむような姿勢で撮影できるようになっていた。大きさを比較するために単三乾電池を並べて撮影した。
図
8-1 ビデオカメラ
CCD-V90
1990年代になって高性能な
TFT(Thin Film Transistor)
カラー液晶が開発されると,それを採用した
EVFが登場し,カラー化とともに小型化,低消費電力化もされるようになった。
図
8-2
は
1996年に購入した
SONYの
Hi8ビデオカメラ
CCD-TR3000で,
EVFには
TFTカラー液晶を使用している。図
8-3
はファインダーの部分で,このように起こすことができる。バックライトとして自然光を取り入れるようにしている。このビデオカメラは今でも健在だが,ファインダーの像はかなり粗く,ざらざらした感じがする。ファインダーを見ながら正確にピントを合わせるのは困難だ。ファインダーに使用している液晶の画素数などがマニュアルには記載されていないので詳しいことはわからないが,見た感じでは,同じころに発売されたデジカメ
FD-7の液晶モニタ
(画素数約
2万)
と同等かそれ以下だと思われる。
|
|
|
図8-2 ビデオカメラCCD-TR3000
|
|
図8-3 CCD-TR3000のEVF
|
EVFは高倍率ズームレンズを搭載したデジカメにも使用されるようになった。
図8-4は2002年に購入したデジカメMINOLTAのDiMAGE 7iを背面から見たところで,このデジカメは7倍ズームレンズと約500万画素のCCDを搭載していた。図8-5はファインダー部分で,このように起こすことができる(アイカップの一部が破損している)。アイピースに近いところには光センサーが設置されていて,このセンサーの働きで,ファインダーに顔を近づけるとファインダーが,顔を離すとモニターがアクティブになったりする。このカメラは,使いやすかったことと,買い替えたいデジカメがなかなか発売されなかったこともあって,かなり酷使したが,22万画素(推定で540×405画素)というEVFについては,解像度の不足を感じていた。
|
|
|
図8-4 デジカメDiMAGE 7i
|
|
図8-5 DiMAGE 7iのEVF
|
2004年2月,KONICA MINOLTAから92.5万画素(推定で1100×825画素)のEVFを採用したDiMAGE A2が発売された。その夏店頭でDiMAGE A2を見たとき,まるで一眼レフのファインダーをのぞいているような鮮明な像のEVFに驚いた。そして,そのころから,高解像度EVFを備えたレンズ交換式デジカメの登場を待ちむようになったが,高解像度EVFを搭載するデジカメはその後しばらく,発売されることがなかった。
図8-6はDiMAGE A2(KONICA MINOLTAのCamera Historyより)。
|
|
図8-6 DiMAGE A2
|